
「図面上の水勾配は3~5‰を確保した。排水溝も計画通りに設置した。計算上、水はスムーズに流れ排水されるはずだ…」
施設の設計に携わる方、あるいは施工を管理する方であれば、このように完璧な計画で臨んだにもかかわらず、引き渡し後に「雨が降ると、グラウンドに水たまりが残ってしまう」という現実に直面し、頭を抱えた経験が一度はあるのではないでしょうか。
なぜ、計算通りの排水勾配が、期待通りに機能しないのか? この、多くの設計のプロが直面するジレンマの根源には、従来の排水設計が見過ごしてきた、ある重大な事実が隠されています。
私たちは、全国のグラウンドや公共施設の「土」と向き合い続けてきた、ヘルシー・スポーツ建設です。私たちの使命は、単に地面を均し固めることではありません。その土地が持つ本来の力を最大限に引き出し、そこに集うすべての人を「笑顔にさせる土」を創造することにあります。
この記事では、施設設計のプロフェッショナルである皆様が抱えるその根本的な問いに対し、土の専門家として、科学的根拠に基づいた明確な答えと、これからの時代のスタンダードとなるべき新しい設計思想を、私たちの技術のすべてを込めて解説します。
目次
表面排水の役割と限界
まず、私たちは排水勾配と排水溝による「表面排水」の重要性を、決して軽視しているわけではありません。1時間に50mmを超えるような集中豪雨時、降り注ぐ雨水を速やかに施設の外部へ導く上で、緻密に計算された勾配が果たす役割は絶大です。これは、屋外施設の排水計画における、基本中の基本であり、最も重要な要素の一つであると断言します。
しかし、問題の本質は、降雨のピークが過ぎた「後」にあります。
なぜ、雨が上がってもグラウンドのあちこちに水たまりが残るのか。なぜ、いつまでも地面はぬかるみ、施設の利用を妨げるのか。 その原因は、土壌の「圧密(あつみつ)」と、それに伴う「浸透能の喪失」に他なりません。
長年の使用や転圧によって固く締め固められたグラウンドの土は、土粒子間の隙間を失い、水をほとんど通さない一枚の硬い層(クラスト層)を形成します。
こうなると、土はもはや水を吸い込むスポンジとしての機能を失っています。 この状態でいくら表面に3‰、5‰の勾配をつけても、土の表面張力によって水は流れきらず、わずかな窪地に留まって水たまりとなります。これこそが、「勾配だけでは、降雨“後”の問題は解決できない」という、従来の設計が抱える構造的な限界なのです。
土中浸透という、失われたもう一つの排水経路
本来、植物が豊かに育つ森の土を想像してみてください。降り注いだ雨は、地表を流れ去るのではなく、豊潤な土の中へと静かに吸い込まれていきます。
そう、健康な土は、それ自体が巨大な排水装置なのです。
この「土中浸透」という、もう一つの排水経路を人工的に確保しようというのが、皆様ご存知の「暗渠(あんきょ)排水工法」です。地中に透水管を埋設し、強制的に土中の水を排出させるこの方法は、確かに一定の効果を発揮します。
しかし、専門家として、私たちはその構造的限界も指摘しなければなりません。 暗渠排水には、周囲の土砂が透水管に流れ込むことによる「目詰まり」のリスクが常につきまといます。一度目詰まりを起こせば、その機能を回復させるのは容易ではありません。
また、グラウンド全体をカバーするには大規模な掘削工事が必要となり、コストも増大します。 そして何より、暗渠排水はあくまで「線」と「点」でしか排水できません。グラウンドという広大な「面」全体の排水能力を、根本から改善するものではないのです。
新時代の設計思想!『表面排水』と『土中浸透』の“連携”を実現するヘルシークレー工法
表面排水だけでは、水は「残り」ます。 従来の土中排水だけでは、水は「偏り」ます。
これからのグラウンド排水設計に求められるのは、この2つの仕組みを個別に考えるのではなく、グラウンド全体で有機的に「連携」させるという新しい設計思想です。
その思想を、唯一無二の技術で具現化するのが、私たちが開発した『ヘルシ-クレ-工法』です。
この工法の核心は、「土を入れ替える」という発想を捨て、「現地の土を、最高の排水フィルターに変える」という点にあります。
独自配合の土壌団粒化資材『HCソイルアジャスト』を現地の土に混合・攪拌することで、固く締まった土粒子を無数の小さな集合体(団粒)へと再構築します。この、土が理想的な状態である『団粒構造』こそが、表面排水と土中浸透の完璧な連携を可能にするのです。
団粒と団粒の「大きな隙間」
この隙間が、雨水を地表から土中へ速やかに浸透させる縦方向の水の通り道となります。これにより、表面排水で処理しきれなかった残留水も速やかに土中へ引き込み、水たまりの発生を根本から防ぎます。
団粒内部の「小さな隙間」
団粒そのものの内部にも無数の微細な隙間があり、毛細管現象によって適度な水分を保持します。この保水力が、ぬかるみの原因となる過剰な水分を吸収し、乾燥時には砂埃の発生を抑制します。
つまり、ヘルシークレー工法で改良された土は、グラウンド全体が「透水性と保水性という、相反する性能を併せ持つ巨大なフィルター層」へと生まれ変わるのです。
これにより、設計通りの表面勾配が本来の性能を100%発揮し、さらに土中への浸透排水がそれを強力にバックアップする、という理想的な排水システムが完成します。
ライフサイクルコストで見る、ヘルシークレー工法の圧倒的優位性
施設の設計・管理において、初期コストと同等、あるいはそれ以上に重要な指標が「ライフサイクルコスト(LCC)」です。ヘルシークレー工法は、この長期的視点において、他のどの工法をも凌駕する圧倒的な優位性を持つことをお約束します。
抜本的なコスト削減
現地の土を再利用するリサイクル工法のため、新たな土の購入費、そして既存土の処分費(残土処理費)が原則として不要です。これは、環境負荷を低減すると同時に、プロジェクト全体のコスト構造を劇的に改善します。※全ての現況土が再利用できるわけではありません。詳しくはお問い合わせください。
維持管理の手間とコストを圧縮
暗渠管のような目詰まりによる機能不全のリスクがなく、定期的なメンテナンスは不要です。また、土壌自体が安定した構造を保つため、勾配が崩れにくく、頻繁な補修・改修の頻度を大幅に低減できます。
施設の利用価値を最大化
「雨天後は、半日以上利用できない」といった施設の稼働率低下を防ぎ、年間を通じた安定利用を実現します。
これは、利用者の満足度向上、スポーツ施設であれば収益機会の確保に直結し、施設の利用価値そのものを長期にわたり維持・向上させる、賢明な「投資」に他なりません。
貴社の設計・提案に、絶対的な自信を。
もはや、グラウンドの排水設計は、勾配だけで語る時代ではありません。 設計の主役は、「勾配」と、その能力を最大限に引き出す「土」そのものである——。 これこそが、私たちが提案する、これからの時代の新常識です。
私たちが提供するのは、単なる土壌改良工法ではありません。それは、引き渡し後の「水が引かない」というクレームから設計・施工者の皆様を解放し、貴社の提案に「この施設は、10年後も最高のコンディションを維持できる」という、絶対的な自信と付加価値をもたらすための技術パートナーシップです。
施設の排水計画、改修計画でお悩みの際は、ぜひ一度、私たち土の専門家にご相談ください。貴社の設計思想を、より強固で、未来志向のものへと進化させるためのお手伝いをお約束します。
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